なぜ鍵が折れたのでしょうか?|鍵が折れた原因
今回は、車の鍵が折れた原因について考えてみたいと思います。
私が実際にあった作業内容の事例を元に解説したいと思います。
車の鍵で一番折れやすい、ニッサン系のブランクキーM301を例に検証してみました。
ブランクキーとは削る前の鍵の事で、M301とは鍵の種類です。
鍵の材質はやわらかく曲がりやすく折れやすい
鍵は実際に折れる物なの?と、鍵が折れた事の無い人は思うかもしれません。
そこで検証してみました。
私は力が強い方ではありませんが、鍵を曲げることが出来ました。
鍵の部分によっては、少し力を加えるだけで鍵が簡単に曲がります。
さらに、力を加えると折れます。なぜ、鍵が簡単に曲がるのでしょうか?
それは、鍵が真鍮(しんちゅう)で出来ているからです。
真鍮の材質は、亜鉛(あえん)と銅の合金で出来ています。
真鍮は、やわらかい方の金属に属し色は黄色ほっい色になります。
本来は黄色のはずですが、シルバーに見えるのは、クロームメッキでコーティング加工されているからです。
鍵の材質を真鍮(しんちゅう)にしている理由としては、鍵を削る時に加工がしやすい点と他の金属に比べて鍵穴の中で滑りやすい特性がありこれらの理由から、鍵の材質には適していると言えます。
鍵を削ると強度が落ちる
鍵が柔らかい材質の金属だとしても簡単に曲がる訳ではありません。
ある一定の条件によって、曲がりやすく折れやすくなります。
鍵には段差という物があり、削る部分が深いほど鍵は細くなります。
ちなみに、1の段→2の段→3の段→4の段と段が増えるごとに0.5づつ細くなります。
1の段差だとなかなか曲がりませんが、図のように4番が1番深く削られていて、4番の所から曲がったり折れたりします。(上記画像参照)
折れた鍵がシリンダーに残った場合の対処方法
鍵が折れて破片がシリンダーに残った場合、どのような作業を鍵屋さんはするのかを説明します。
イグニッションの鍵抜き作業は、鍵屋さんにとって美味しい仕事ではありません。
タダ働きをする可能性を秘めているのがイグニッションの鍵抜き作業です。
鍵の折れ方によっては、内筒自体が分解できない可能性があります。
しかし、電話で事前に症状を聞いているので取り出せると判断し、出張作業をさせていただきました。
今回はダイハツ車で説明します。
平成13年式のダイハツ・アトレーワゴンで、型式がS220Vになります。
ごらんの通り、鍵が折れてます。折れた鍵の先端が中に入っています(上記画像参照)
鍵が折れる原因としては、段差が1番低い所から折れます。
鍵の段差が多いほど、鍵を削ることになるので、ブランクがどんどん細くなって行きます。
当然、ブランクが細い所は耐久性がないので折れやすくなりますよね?
それが原因で鍵が折れるのです。
そして、折れた鍵を取り出しますが作業的には容易ではありません。
鍵周りの外装を取り払い、内筒(シリンダー)を抜かなくてはなりません。
折れた鍵を取り出すためにイグニッション周りを外していきます。
外装をバラすのに時間を要しましたが、無事に内筒を取り出す事に成功しました。
次に、バラした内筒から折れた鍵を取り出します。
折れた鍵を確認してみると、段差の細い部分から折れていることが確認できます。
鍵が折れたり曲がるのには理由がある
鍵が折れたり曲がる理由は、
①鍵をちゃんと挿さずにドアの開閉やエンジンをかけていた
②鍵の劣化や摩耗などでエンジンがかかりにくい
③合鍵を作成してもらったが、スペアキーの精度が悪かった為に回りにくい
このような理由などで、鍵が曲がりやすくなり折れやすくなるのです。
鍵を回す際に違和感などを感じた時は使用を辞めて、回りやすい鍵で対応しないと後に修理費が高くつくことになりますので注意が必要です。